ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

バイプレイヤー

お花見をする間もなく桜の花も散ってしまい、あっという間に春が通り過ぎてしまいました。
春の名残を感じるのは鼻のむず痒さだけです。   皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、ここ数年パリで話題なのが「ネオ・ビストロ」と呼ばれているお店。
元々「ビストロ」というのは地方の出身者がパリに出稼ぎに来て食堂を開き、
奥さんが料理を作って、ご主人がサービスをするというような家庭的で素朴なものでした。

定食屋とか食堂、居酒屋など正確な定義付けは難しいですが、
シンプルで安くて旨い料理とワインを出し、アットファームな雰囲気のお店なのです。
「日常使いの定食屋」とは少し違う「高品質で手頃な価格のレストラン」というのが
「ネオ・ビストロ」と言いましょうか。
星付きの高級レストランやホテルで修行を積んだシェフたちが今独立して
このようなスタイルのレストランを出すのが主流なんです。

フランスにおいて料理は国の芸術なんだと思います。
一流の料理人としてガストロノミー(美食学)を目指す人たちは高級ホテル、
レストランで修行をし独立したならば最初に目指すのは星の獲得といっても過言ではないと思います。そういった目指す道を自ら降りて、その道以外にもガストロノミーがあるのを
証明してくれているんだとも思います。


数年前に最新の技術やテクノロジーを駆使した料理が話題になった時代がありました。
料理の世界もまた新たな革新が起きたとも思いましたが、価格も高沸し予約も取れないとなると
どうも現実離れしすぎて、私達一般庶民には手が届かないものになりましたよね。

そんな中で彼らは"競争するための料理"ではなく
"食べる人のための料理"を目指したんだと思います。

そしてそんな料理を引き立てるのがワインだと思っています。
あくまでも料理の脇役として料理に寄り添い料理を引き立たせ、
その場を盛り上げてくれるもの。まさにバイプレイヤーなんだと。
また、ワインにはボルドーやブルゴーニュといった主役級が君臨していますがマイナーな地方、
マイナー品種もいい味を出してくれます。


フランスはアルザス地方のピノ・ブランは豊かな果実味と爽やかな酸味が口いっぱいに広がり
一本飲み干した後はしみじみと今日飲んだワイン美味しかったなぁと思わせてくれます。
パテやハム、ソーセージ、チーズなどビストロ料理にしっかりと寄り添ってくれます。
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ロワール地方はサンセール。グレープフルーツのような酸味や苦味を思わせるジューシーな味わい。
スモークサーモンや鰆、貝類、アスパラガスのような春の食材を一層引き立たせてくれます。

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250年前まではイタリア領にありフランス領に返還された後数ヵ月後にナポレオンが生まれたという
地中海に浮かぶコルシカ島。南国らしい豊富な果実味を持ちながら穏やかな渋味とまろやかな酸味が
料理を食べ終わった後もずっと飲んでいたいワイン。クロ・ヴェンチュリ・ルージュ。
  
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私が勤めるビストロ・ダ・アンジュは今春46周年を迎えました。
自分が勤めるお店のことながらこの時代に、
同じ場所で同じ業態でずっとお店を続けているという事はほんとにすごい事なんだと
あらためて感じています。これも一重に、アンジュに来てくださり

暖かく見守ってくださった皆様、時には本音で厳しいことを言ってくださる皆様に
ここまで育てていただいたと思っております。
本当にありがとうございます。

ビストロ・ダ・アンジュが繋いでくれる良縁を大切にし、味わいや料理との相性もそうですが
生産者の想いや情熱、美味しいワイン、おもしろいワインを伝え、紹介し、
皆様のワインライフがより美味しく、楽しい時間を過ごして頂けるようお手伝いするべく、
ソムリエとしての名バイプレイヤーに、
そして厳しい時代ではありますが、変化するビストロ・ダ・アンジュではなく
進化するビストロ・ダ・アンジュでありたいと思っております。


どうぞ47年目のビストロ・ダ・アンジュをよろしくお願いいたします。



ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

新たな挑戦

オリンピックに熱くなっていましたら、気候もすっかりと春めいてまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
スポーツはあまり詳しくありませんが、知らない競技を知り魅力を感じたり、
選手のストーリーに感動させられました。もっぱらにわかではございますが・・・


オリンピックにもはまっていましたが同じ頃、お店で「自然派ワイン」をテーマにした
ワイン会を開催して以来、「自然派ワイン」に目がいってしまい、ついついそれらを選んでしまいます。

畑や造り手の特徴はあるものの、産地や品種を聞くと、こんな感じかなと想像が出来るんですが
化学肥料や除草剤を一切使わない有機栽培、ぶどう本来が持つ天然の野生酵母で発酵を行い
濾過や清澄という作業を行わないにごり酒のようなものもあり、
えっ!この地方でこんなワイン出来るの!?と、個性豊かなものが多いんです。 


今では「ビオ」とか「自然派」という言葉がありますが、「ワインは農産物」と言われるように、 
本来ぶどうだけで自然に出来た飲み物。他には何も加えていませんでした。
同じ生産者が同じように造るワインでも味わいが違ってくることもあります。
前に飲んだワインをもう一度飲んでみるとその印象がガラリと変わることもあります。
味のバラつき、不揃いもまた楽しみであり魅力なのです。


「自然派ワイン」と言われるものは、大きく分けて栽培に注目する考えと、
醸造までの全ての工程を考える場合があります。
栽培方法として、「リュットリゾネ」=減農薬栽培、
「ビオ」=有機栽培、
「ビオディナミ」=有機栽培を前提に、

月や天体のリズムに合わせて選定や収穫を行う農法があります。
醸造では亜硫酸塩(酸化防止剤)の使用と酵母の種類。
酵母は自然の野生酵母を使い、酸化防止剤は一切使用しない生産者も増えています。

南仏ラングドック地方にあるドメーヌ・デ・ローリエは自然なブドウ栽培と品質へのこだわりを持っています。
収穫後の酸化を防ぐため密閉蓋付きのトレーラーを開発したり、
45分以内にしっかりと温度管理されたカーブに運び
酸化防止剤は最小限に抑えてワインを造っていきます。
それでも認証を取らないのは昔からの造り方、当たり前のことを当たり前にやってるだけだと。


いくつかのビオ認証機関はあるものの、自然派ワイン、
ビオワインを造りながらその認証を受けていない生産者もたくさんあります。
今、皆さんが飲んでいるワインもひょっとしたら
実は自然派ワインと呼べるものかもしれませんよ。

自然派の白ワインを飲んでみるとビックリされる方も多いと思います。
自然派の白はフルボディのものが多く、より個性がハッキリとしていて変わってる!と思うことも。
色がとても濃かったり、濁っているのは一目瞭然。

酸化的な香りもちょっと苦手という方、一度赤ワインを試してみてください。

自然派の赤と通常の赤の違いは、他の色のワインほどはっきりとはしていません。
なぜなら普通の赤ワインがより自然に近い方法で造られているからなんです。
皮や種を一緒に漬け込むことによりタンニンや抗酸化物質がもたらされ、
ワインを酸素から守っています。

ヨーロッパのワイン法でワインに許容している亜硫酸塩の含有量も赤の方が低いのです。
とはいえ、自然派らしさ、味の違いは感じられます。まず、樽の香りがしかっりとしたものは
ほとんどありませんし、ブドウもフェーノール分が最大になった時に収穫することが多く、
ワインが爽やかで消化しやすく、もっと飲みたくなるような味わい、それが自然派の赤の魅力なのです。




 ラ・セレスティエールが造るキュベ・ヴォークリューズBIOはほんの少しのシュワシュワ感(微発泡)と
 酸味と果実味の心地よいバランスが、もっと飲みたいと思わせてくれます。


挑戦するってとても勇気がいること。若者がベテランに挑む、新しいチームで大きな目標を目指す、
ケガの復帰直後に大技に挑む。
私達もいつもと違うジャンルのワインに挑戦しましょうよ。きっといつもと違う景色が見えますよ。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

牡蠣とシャブリ

寒さがまだまだ厳しい季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は、この厳しい寒さと眠気と毎日戦っております。
寒いと眠いと言っているのは私だけではないのではないでしょうか???
冬眠するんじゃなかろうかと心配でなりませんが、そうも言っておられませんので
なんとか必死で体を動かしてスイッチを "オン" にしております。


さてさて、牡蠣の美味しい季節です。フランスでは一年を通して食べられる国民食。
一人1ダースを食べるのは当たり前で、カフェやブラッスリーで白ワインを片手に
「プラトー・ド・フリュイドメール」を囲む姿はよく見る光景。


   


今でこそ和食や寿司が世界で知られる様になり、生魚が食べられる様になりましたが
ほとんど生で食べる習慣がなかった時代から牡蠣だけは「生」で食べられていました。

そしてワイン好きの方なら一度は聞いた事のある「生牡蠣にはシャブリ
「シャブリ」はブルゴーニュ地方の最北にあるシャブリ地区のシャルドネで造られたワインで

大昔は海の底でたくさんの貝殻が埋まっていてその中には牡蠣の化石が多く残っています。
海や貝のミネラルをたくさん含んだ土壌から造られるワイン。
相性の基本は、食材とワインの共通点を探すことにありますが、
海のミネラルの塊である牡蠣との相性は間違いないということ。
 


そして、もう一つはワインに含まれる「リンゴ酸」。これはりんごに含まれる酸で、
爽やかな風味とキレの良い酸味が特徴。生牡蠣にレモン、
生牡蠣に酸味のあるワインも納得の理由。

そして「リンゴ酸」は牡蠣に含まれるカルシウムの吸収もよくしてくれます。
さらに、海から上がったばかりの牡蠣は雑菌も多いはず。
酸の強い白ワインは殺菌作用もあるのです。


揚げ物にキャベツ、カレーにらっきょう、刺身や寿司にはガリとワサビなど
定番の組み合わせも、ただ美味しいだけじゃなく、消化吸収や殺菌効果など
ちゃんと理にかなってるんだと思うと、
人間って潜在的に体に良い組み合わせをしてきたんだと感心させられます。
 

  
中世に描かれた絵画
「牡蠣の食事」


でもでも、やっぱり牡蠣も赤ワインで頂きたいわ、という赤派の方、
赤ワイン=ボルドー。そして牡蠣=ボルドーなのです。
フランスの大西洋岸にあるアルカッションは牡蠣の一大産地。
そう、それがボルドーにあるのです。

地元の赤ワインで牡蠣を食べたいボルドー人が生み出した、ボルドー流の食べ方が
「生牡蠣とソーセージ」 それにバターをいっぱい塗ったパンも口に入れ赤ワインを飲むのだそう。

なんと贅沢な!! 「牛肉のステーキと牡蠣のクリーム煮」もフランスの定番料理。
果実味いっぱいの赤ワインと是非合わせてみて下さい!


冬は食生活によって体調を崩すことが多い季節です。
美味しいもの、食べ合わせの良いものをしっかりとって暖かくなるのを待ちたいと思います。
とはいえ、食べ過ぎ飲みすぎにはお互い注意しましょう。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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