ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

秋の夜長に、イタリアを懐古する

先日御堂筋を歩いておりましたら、いちょう並木の数ある中の一本から早くも銀杏が落ち、
踏み潰され辺りはあの何とも芳しい香りが漂っておりました。もうすっかり秋ですね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

フランスのワイナリーに行かせてもらってから、早3ヶ月。
そういえば、3年前にはイタリアのワイナリーに行かせてもらったなぁと、思いを馳せていましたら、
何だか急にイタリアワインを飲みたくなって、
休日は酒屋に行ってはイタリアワインを物色する日々が続いており、
家に帰って久しぶりにあの分厚い本を読み返しております。

今年の教本。
日本でのワイン法が
この秋から始まります。

日本の項目が
随分と多くなっていました。
 

よくもまぁ、これだけの量を頭に詰め込んだなぁと、自分のことながら感心致します。
寝ている間に覚えられるものならと、枕の下に敷いて寝たり、暗記パンさながら、
この本食べたら全部頭に入るのか??と狂気じみたことを考えた事も・・・。
今となってはそんな日々も良い経験、良い思い出です。そんな話はさておき・・・。

イタリアは20州全てでブドウの栽培とワイン造りが行われており、古代ギリシャ人たちも
「エノトリーア・テルス」=「ワインを造る大地」と絶賛するほどの古来からのワイン名穰地です。
たくさんの民族がブドウを持って地中海の入口、
シチリア島から更に北上してヨーロッパに入植していったと考えると、
ものすごい種類のブドウが植えられ、それが今日の土着品種の多さなんだと合点がいきます。

そう、イタリアワインの魅力の一つは、数百種あると言われている土着品種。
イタリアワインを専門に扱う人でさえ、次から次へと覚えきれないほどでてくるわ、と唸るほど。
皆さんはそんなの覚えなくて良いですよ。 
それによってあらゆるタイプのワインが造られているので、
自分の好みのワインを探すのも、ものすごく楽しそう!!

時を遡ること20年ほど前、若かりし頃の私はリュック一つ背負ってイタリアを一周、
一ヶ月旅した経験があります。初めてのヨーロッパでその時に見た、見事な建築物、
その時代を想像できるかのような美しいたくさんの遺跡、美味しい料理にワイン。
ヨーロッパの歴史や文化、料理、ワインに興味を持ち始めたのはこの頃でした。
帰国後はイタリア関連本を読みあさり、「illy」のエスプレッソ豆を買い、
イタリアワインを飲みまくったものです。(完全にカブレてました・・・)


その頃のイタリアワインは果実味いっぱいの重量感のあるどっしりとしたものが多かったように思います。
当時はワインの勉強はまだしていませんでしたので、あくまでも思い出の中の印象ですが・・・。

フランス料理店に勤めるようになったのもあって、だんだんとフランスワインを飲む機会が増え
イタリアワインともすっかり遠ざかっていましたが、
数年前に久しぶりにじっくりとイタリアワインを飲んだら、
あれ!イタリアワインてこんなだっけ!?この数年でこんな変わったの!?
もちろん昔の方が良くて、今は悪いとか、その逆でもないんですよ。
今も変わらず昔と同じワインを造る生産者もいますしね。

イタリアではワインの生産量、消費量が減少していると言われている昨今、
高級化(質の良いワイン造り)が進んだり、土着品種で造られる個性的なワイン造りが見直されたり、
時代と共に、変化し進化していくんですね。
私自身も年を重ねて後退(老化?)していくことが多くなってはいますが、
日々、成長し進化していきたいと願うばかりです。
ワインから学ぶことはホントにたくさんあるなぁ、なんて思う今日このごろです。


3年前に訪問したシチリアのドンナフガータのワインは土着品種と国際品種を見事に使い分け、
音楽や芸術を愛する家族のおおらかな気風とその風景を感じながら
ラベルも個性的でシチリアの太陽のように飲む人を明るくさせてくれます。  

 

ソムリエ教本に「イタリアワインの3つの魅力」として、その中の一つに
「イタリアワインは3000年の歴史の中で育まれてきたワインなので、
昔からあるワインはそれぞれがロマンスをもっている。
秋の夜長のひと時、古代ローマの歴史を紐解きながら、かつての英雄たちの物語に思いを馳せて
当時の生き残りのワインを楽しむのはイタリアワインならではの楽しみである。」とあります。

空が澄んで月が美しく見える季節です。 今年の実りに感謝して、月見の宴を楽しみませんか。



ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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フランス訪問記 〜ブルゴーニュ編〜

厳しい暑さも少しは落ち着き、夏の思い出に浸っております。
なんて、夏休みは頂いたものの今年は何処にも行かないと決め込んで、
家でのんびりさせて頂きました。 皆様はいかがお過ごしになられましたでしょうか?

前回のシャンパーニュ、ランドルヴィル村から車で一時間ほど、シャブリの市街地に
ワイナリーがある、ドメーヌ・ラウル・ゴートラン。 シャブリの中では小さな家族経営の生産者です。
当主ラウル氏と、神戸牛と山崎が大好きな息子で次期当主エイドリアンが案内してくれました。
 

 

グラン・クリュの畑を3つとプルミエ・クリュの畑を3つ所有。丘陵地帯で、一億五千年前の海洋生物が
推積されたキンメリジャンという シャブリではクラッシックな土壌です。
この石灰岩に牡蠣の殻が含まれているので牡蠣といえばシャブリという定説があるんです。
一度は試したいと思うのですが、実は私、牡蠣が食べれないんです。
このマリアージュ、どれだけ素敵かどなたか教えてくださいませ!


樹齢40年の古木で、ブドウの健康状態を見ながら房数を決め剪定していきます。
そして味わいに深み奥深さを出すため6〜8ヶ月間澱と一緒に樽熟成させています。
2017ヴィンテージより新しいメーカーの樽を使用し、今まで樽熟していなかった
グラン・クリュのシャブリも樽熟させ、より斬新なものを造りたいと新たな挑戦を試みています。
 

シャブリV.V.のマグナムボトルを
トランクにつめて 帰国いたしました。
まろやかで、酸とのバランスもよく

絶品のシャブリでした!

 

シャブリブルゴーニュの中でも寒冷な土地。昨年は遅霜の被害を受け生産量がかなり落ちたそうですが
生産量より品質を保つのが最も大切な事だと、そしていつでも美味しいと言えるシャブリを
私たちに提供してくれる事を約束してくれました。
その日の夜は母のナタリーさんも合流し、温かい家族愛にふれ、ゴートランのワインに合わせて
メニューを作ったというディナーとシャブリ尽くしで何とも贅沢で楽しい夜を過ごしました。


翌朝、見えなくなるまで手を振ってくれていたゴートラン一家と別れを告げ、
広大なぶどう畑を眺めながら南へ、マコネ地区はプイィ・フィッセの村にやって来ました。
マコネ地区は全体に平坦な土地なのですが、南端だけは丘陵地帯になり、そこに切り立った断崖が
あります。その斜面と麓にプイィ・フィッセがあり、ここはマコネの中でも別格の白ワインを産みます。
その中に、シャトー・ヴィタリスはあります。
塀で囲まれた「クロ」と呼ばれる小さな畑を70ヶ所、所有しており、南向きや北向き、急斜面、平地、
泥、石灰、砂と土壌も様々。沢山の畑のブドウを最終的に選定して、最良のワインを造っています。


この畑のブドウは良くても、あそこのは悪いなど、ワインは生き物で、往々にその年はダメだとは
言えないと言います。
2017年のフランスワイン生産量は、戦後最少になるんじゃないかとの予測が出ています。
やはり遅霜の影響なんだそう。しかし、生産量減(不作)=品質の低下ではありません。
今年も一部被害はあったそうですが、実がたっぷり付いたブドウが育っていて良い年になりそう、と
期待は十分持てそうですよ!
 

 

今回訪問させて頂いたワイナリー全ての方々が、より美味しいワインを造ろうと、守るべき伝統を残し、
取り入れるべき新しい方法、技術を受け入れ、日々取り組んでおられる姿に感銘しっぱなしで
そこには造り手の心意気と使命感、愛を感じました。
そんな彼らの思いを皆様にもお伝えしていきたいと思います。


短い期間でしたが、出会った全ての人達、大空、大地は、都会で働く私にとって
忘れていた大切な何かを思い出させてくれる様な、そしてワインのことのみならず
たくさんの事を教えてくれた、そんな素敵な旅でした。

朝晩はようやく過ごしやすくなってきました。皆様ゆっくりとワインを飲みながら
秋の夜長を楽しんで下さいませ。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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フランス訪問記 〜シャンパーニュ編〜

雲ひとつない青空と、賑やかな蝉の声に、夏本番を感じるこの頃 皆様いかがお過ごしでしょうか?
外の蒸し暑さと、クーラーでの冷えの差でお疲れは出ていませんか?

そんな夏真っ盛りの7月中旬、外は35℃という猛暑に、お店のエアコンもビックリしたのか
ぶっ壊れてしまうという大惨事が起こりました。
「今日クーラーのきき悪いなぁ・・・」なんて最初は言ってましたが、「いや、何かおかしいで・・・」となり、
電気屋さんに来てもらうと、「つぶれてますねぇ。」って!!
週末でお店はご予約で満席!すぐに修理できるってこともなく、冷風機やら扇風機を買いに行ったり、
おしぼりを冷凍庫に入れたり、とりあえずの応急処置はするものの、この暑さはしのげません!

暑い中、お食事をして頂いているお客様には本当に申し訳なく思っていますと、
「暑いのに大変やねぇ」とか「美味しかったよ〜」とか、ああ、何と寛大なお客様達!
あの暑い数日間にお越し頂いたお客様には、この場を借りてお詫びとお礼を申し上げたいと思います。
暑い中お越し頂き、暑い中お食事して頂き、温かいお言葉を頂き、本当に有難うございました。

そんな中、私のフランス行きの日も近づき、エアコンが直らない中、
うしろ髪を引かれながら、ワイナリー視察へと行ってまいりました。

12時間のフライトは映画を観まくり一睡もせず、シャルル・ドゴール空港に到着。
今回訪問するシャンパーニュの生産者、ルネ・ジョリーのドライバーさんがお出迎え。
荷物をバンに積み終えたら、助手席からクーラーボックスに入ったよく冷えたシャンパンと
シャンパングラスが出てきて、「ようこそいらっしゃいました。乾杯しましょう!」と
何とステキなサプライズ!! 空港の駐車場で「Santé !」
長旅の疲れも吹っ飛び、フランスに来たという実感が沸いてきました!
 

何と、フランスでは
グラス一杯までなら
飲酒運転可能なんだそう!

ホンマかいなっ!!
 

空港から高速にのって約2時間、ルネ・ジョリーのあるコート・デ・バールへ。
途中のインターで、カスクートや惣菜を買ってホテルへ到着。
ワイナリーの当主、ピエール・エリックがお出迎えしてくれました。
スペシャル・キュベ ‟RJ" で乾杯し、惣菜をひろげて夕食です。
レストランに行こうと思ったが、ここに住む私達の生活の一部を知ってもらいたかったという
当主の想いです。
 

 

コート・デ・バールはシャンパーニュ地方の最南部にある地域です。
シャンパンに使用される3つの品種は、ピノ・ノワール90%、ピノ・ムニエ5%、シャルドネ5%と
ピノ・ノワールが良く育つ産地です。
ルネ・ジョリーはこの地域のランドルヴィル村に畑があります。
そしてブドウの栽培から、醸造、販売までのすべてを行う家族経営のレコルタン・マニピュランです。
あちこちの地域に畑を持つ生産者が多い中、この村でだけでブドウを栽培することに
こだわりを持っています。
人口480人程の中の65%もの人がブドウ造りに携わっており、 10件程のワイナリーがあります。

シャンパーニュは有るべくして造られた土地だと、当主ピエール・エリックは言います。
大阪やニューヨークの様な消費の町ではなく生産者で成り立つ町だと。
夏は暑く、冬は‐25℃にまで冷え込み、公共機関や商業施設もほとんどなく
決して住みやすい土地ではないが、ブドウを作るためにここにいるんだと。


一つの花から一粒のブドウができ、一本の木から8〜10房まで剪定し一本のシャンパーニュができます。
ピノ・ノワールに適した産地でありながら、その25%にシャルドネの畑があるということと、
シャルドネ100%で造られるブラン・ド・ブランを造っているのは、ルネ・ジョリーの誇りでもあります。
この地域ではシャルドネ自体栽培していない生産者の方が多いんです。

 


 
シャルドネの葉は付け根が広がっていて、
ピノは重なり合っています。






 
 
大きい石灰岩がゴロゴロと転がっています。 
その下には泥粘土質の土壌が広がり、ひび割れてカラカラです。
さらにその下には石灰質の土壌が地中奥深くまで重なっています。

 
まだ実をつけたばかりのピノ・ノワール
皮はまだ緑色で実は硬く、
口に含むと顔が歪むほど酸っぱいです。

 

新しく導入した1972年もののプレス機は4人掛りでかき混ぜながら優しくプレスしていきます。
プレスしたジュースが自然発酵しないよう、2℃にキープ出来るよう冷却システムも導入。
また、瓶内二次発酵の際の王冠選びは重要で、あのギザギザからわずかに空気の循環が行われており
シャンパーニュの味わいに大きな影響を与えるため、お祖父さんの代から変わりません。
新しいものを取り入れながら、伝統を守り続ける。どちらも勇気と信念、我慢が必要!
私達のお店でも、日々頭を悩ませています。

ワインは一つの地方が何らかの災害で全滅してしまったとしても、他の地方、国でも造られますが
(もちろん、その土地のワインはなくなりますが・・・)
シャンパーニュ地方が全滅してしまったらシャンパンと名乗る飲み物はなくなってしまいます。
だからこそ、この土地に誇りを持っているんだと感じました。
この季節はブドウが成長していくとっても大切な時期。目がはなせません。
「ぶどうは宝石と一緒。僕達にとっては宝物。」と言うように、
大事に育てられたブドウから造られたシャンパーニュ。

日本に帰ってシャンパンを飲む時も感謝を忘れてはいけないなと実感いたしました。


まだまだ話のネタはつきませんが、シャンパーニュ編はこの辺で、
来月、ブルゴーニュ編でお会いしましょう。    À bientôt! 


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

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