ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

シェフの3つのスーツケース

10月初旬、ビストロ・ダ・アンジュでは毎年恒例となっております、
フランスからパトリック・テリアンシェフを招いての料理フェアを開催しておりました。
たくさんのお客様にお越しいただき、いつもに増して活気のある店内で、
私にとってこの一週間は、一年で最もハードで、そして最も楽しく充実した時間でした。

一年に一度、フランス人シェフとの交流は、「ビストロ・ダ・アンジュ」が
ビストロ・ダ・アンジュ」で在り続けるための大切な期間ででもあります。

クラシックなビストロ料理に今のフランス、パリ、の新しい技術や見せ方、
そして高いワインだけが美味しいワインではない、
リーズナブルでも料理との合わせ方で、こんなにも美味しく感じさせてくれる

潜在的にもっているワインとのマリアージュ。
そして、周りの人をいつも楽しくさせてくれるサービス精神、おもてなしの心。
いわゆるフランスの魂=エスプリを体感することが出来ました。

フランス料理だけを提供するだけでなく、フランスの文化、魂を発信できるお店として
お客様に、よりフランスを感じ楽しんでいただきたいと、心新たにしております。

今年送られてきたレシピは
全てフランス語!
辞書と格闘です!


そして最終日には一緒にワイン会をさせていただきました。
今年は間際にワイン会の特別メニューのレシピがメールで届き、
キッチンスタッフも私も食材や、それに合わせたワインの仕入れに大慌てでしたが、
ワクワク感と楽しみも倍増です。

乾杯はビストロ・ダ・アンジュのフラッグシップ、ルネ・ジョリーより、RJ・スペシャルキュベ
イベントを盛り上げてくれる事間違いなしのマグナムボトルを。
泡がワインに溶け込んで、クリーミーかつボリュームもしっかり、
シェフからの最初の一皿、パプリカのバヴァロワと。



鯛とサーモンをスモークし、レモンの泡でアクセントをつけた前菜は、
柑橘の香りと、爽快な酸味と苦味のバランスが良いサンセールを。
フランスの庭園を思わせる盛り付けとサンセール、シェフの出身地ロワールの情景が目に浮かびます。
今も時折ロワールの実家に帰って庭仕事をしているそうですよ。


海老と帆立のポワレ、マンゴーとオレンジのソース。
ワインは南仏のシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、ヴィオニエをブレンドした
ドメーヌ・オー・ブランヴィユのスペシャルキュベ
「これはいいね!!」とお墨付きも頂いた、最高のマリアージュ。




そしてメインは、シェフがフランスから持参した干し草で燻した仔羊のロースト。
シェフ自ら、皆様の前でデクパージュしてくれました。

それに合わせたワインもシェフ持参、南仏のフォジェールの赤。
果実味いっぱいで、スパイシーさと酸味がキリッと引き締める、
今年は6本もトランクにつめてきてくれました。


大きなスーツケースを3つ持って来たそうで、その中には食材やワイン、
そしてシェフの思いがたくさん詰め込まれていたんだと思うと、
毎年のことながら感謝の思いでいっぱいです。



今年もシェフからのメッセージ。

私達と一緒に、ガストロノミーとフランスの食文化を楽しみに来てください!!
パトリック・テリアン
 


食事とグラス一杯のワイン、それだけでも充分にフランスの文化を感じる事ができるかも!
11月はボージョレー・ヌーヴォーも解禁されます。収穫祭の意味もあり、
今年も無事にワインが出来た感謝のお祭です。また賑やかになりそうですね。

そして今月はキッチンスタッフがフランスに食べ歩きの研修に行ってまいります。
現在のパリのビストロ料理をたくさん見て食べて、
益々フランスの食文化をお伝えすることが出来ると思います。

難しいことは言いません!
美味しいフランス料理とフランスワインでワイワイと楽しい時間を過ごしてください!!


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

秋の夜長に、イタリアを懐古する

先日御堂筋を歩いておりましたら、いちょう並木の数ある中の一本から早くも銀杏が落ち、
踏み潰され辺りはあの何とも芳しい香りが漂っておりました。もうすっかり秋ですね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

フランスのワイナリーに行かせてもらってから、早3ヶ月。
そういえば、3年前にはイタリアのワイナリーに行かせてもらったなぁと、思いを馳せていましたら、
何だか急にイタリアワインを飲みたくなって、
休日は酒屋に行ってはイタリアワインを物色する日々が続いており、
家に帰って久しぶりにあの分厚い本を読み返しております。

今年の教本。
日本でのワイン法が
この秋から始まります。

日本の項目が
随分と多くなっていました。
 

よくもまぁ、これだけの量を頭に詰め込んだなぁと、自分のことながら感心致します。
寝ている間に覚えられるものならと、枕の下に敷いて寝たり、暗記パンさながら、
この本食べたら全部頭に入るのか??と狂気じみたことを考えた事も・・・。
今となってはそんな日々も良い経験、良い思い出です。そんな話はさておき・・・。

イタリアは20州全てでブドウの栽培とワイン造りが行われており、古代ギリシャ人たちも
「エノトリーア・テルス」=「ワインを造る大地」と絶賛するほどの古来からのワイン名穰地です。
たくさんの民族がブドウを持って地中海の入口、
シチリア島から更に北上してヨーロッパに入植していったと考えると、
ものすごい種類のブドウが植えられ、それが今日の土着品種の多さなんだと合点がいきます。

そう、イタリアワインの魅力の一つは、数百種あると言われている土着品種。
イタリアワインを専門に扱う人でさえ、次から次へと覚えきれないほどでてくるわ、と唸るほど。
皆さんはそんなの覚えなくて良いですよ。 
それによってあらゆるタイプのワインが造られているので、
自分の好みのワインを探すのも、ものすごく楽しそう!!

時を遡ること20年ほど前、若かりし頃の私はリュック一つ背負ってイタリアを一周、
一ヶ月旅した経験があります。初めてのヨーロッパでその時に見た、見事な建築物、
その時代を想像できるかのような美しいたくさんの遺跡、美味しい料理にワイン。
ヨーロッパの歴史や文化、料理、ワインに興味を持ち始めたのはこの頃でした。
帰国後はイタリア関連本を読みあさり、「illy」のエスプレッソ豆を買い、
イタリアワインを飲みまくったものです。(完全にカブレてました・・・)


その頃のイタリアワインは果実味いっぱいの重量感のあるどっしりとしたものが多かったように思います。
当時はワインの勉強はまだしていませんでしたので、あくまでも思い出の中の印象ですが・・・。

フランス料理店に勤めるようになったのもあって、だんだんとフランスワインを飲む機会が増え
イタリアワインともすっかり遠ざかっていましたが、
数年前に久しぶりにじっくりとイタリアワインを飲んだら、
あれ!イタリアワインてこんなだっけ!?この数年でこんな変わったの!?
もちろん昔の方が良くて、今は悪いとか、その逆でもないんですよ。
今も変わらず昔と同じワインを造る生産者もいますしね。

イタリアではワインの生産量、消費量が減少していると言われている昨今、
高級化(質の良いワイン造り)が進んだり、土着品種で造られる個性的なワイン造りが見直されたり、
時代と共に、変化し進化していくんですね。
私自身も年を重ねて後退(老化?)していくことが多くなってはいますが、
日々、成長し進化していきたいと願うばかりです。
ワインから学ぶことはホントにたくさんあるなぁ、なんて思う今日このごろです。


3年前に訪問したシチリアのドンナフガータのワインは土着品種と国際品種を見事に使い分け、
音楽や芸術を愛する家族のおおらかな気風とその風景を感じながら
ラベルも個性的でシチリアの太陽のように飲む人を明るくさせてくれます。  

 

ソムリエ教本に「イタリアワインの3つの魅力」として、その中の一つに
「イタリアワインは3000年の歴史の中で育まれてきたワインなので、
昔からあるワインはそれぞれがロマンスをもっている。
秋の夜長のひと時、古代ローマの歴史を紐解きながら、かつての英雄たちの物語に思いを馳せて
当時の生き残りのワインを楽しむのはイタリアワインならではの楽しみである。」とあります。

空が澄んで月が美しく見える季節です。 今年の実りに感謝して、月見の宴を楽しみませんか。



ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

フランス訪問記 〜ブルゴーニュ編〜

厳しい暑さも少しは落ち着き、夏の思い出に浸っております。
なんて、夏休みは頂いたものの今年は何処にも行かないと決め込んで、
家でのんびりさせて頂きました。 皆様はいかがお過ごしになられましたでしょうか?

前回のシャンパーニュ、ランドルヴィル村から車で一時間ほど、シャブリの市街地に
ワイナリーがある、ドメーヌ・ラウル・ゴートラン。 シャブリの中では小さな家族経営の生産者です。
当主ラウル氏と、神戸牛と山崎が大好きな息子で次期当主エイドリアンが案内してくれました。
 

 

グラン・クリュの畑を3つとプルミエ・クリュの畑を3つ所有。丘陵地帯で、一億五千年前の海洋生物が
推積されたキンメリジャンという シャブリではクラッシックな土壌です。
この石灰岩に牡蠣の殻が含まれているので牡蠣といえばシャブリという定説があるんです。
一度は試したいと思うのですが、実は私、牡蠣が食べれないんです。
このマリアージュ、どれだけ素敵かどなたか教えてくださいませ!


樹齢40年の古木で、ブドウの健康状態を見ながら房数を決め剪定していきます。
そして味わいに深み奥深さを出すため6〜8ヶ月間澱と一緒に樽熟成させています。
2017ヴィンテージより新しいメーカーの樽を使用し、今まで樽熟していなかった
グラン・クリュのシャブリも樽熟させ、より斬新なものを造りたいと新たな挑戦を試みています。
 

シャブリV.V.のマグナムボトルを
トランクにつめて 帰国いたしました。
まろやかで、酸とのバランスもよく

絶品のシャブリでした!

 

シャブリブルゴーニュの中でも寒冷な土地。昨年は遅霜の被害を受け生産量がかなり落ちたそうですが
生産量より品質を保つのが最も大切な事だと、そしていつでも美味しいと言えるシャブリを
私たちに提供してくれる事を約束してくれました。
その日の夜は母のナタリーさんも合流し、温かい家族愛にふれ、ゴートランのワインに合わせて
メニューを作ったというディナーとシャブリ尽くしで何とも贅沢で楽しい夜を過ごしました。


翌朝、見えなくなるまで手を振ってくれていたゴートラン一家と別れを告げ、
広大なぶどう畑を眺めながら南へ、マコネ地区はプイィ・フィッセの村にやって来ました。
マコネ地区は全体に平坦な土地なのですが、南端だけは丘陵地帯になり、そこに切り立った断崖が
あります。その斜面と麓にプイィ・フィッセがあり、ここはマコネの中でも別格の白ワインを産みます。
その中に、シャトー・ヴィタリスはあります。
塀で囲まれた「クロ」と呼ばれる小さな畑を70ヶ所、所有しており、南向きや北向き、急斜面、平地、
泥、石灰、砂と土壌も様々。沢山の畑のブドウを最終的に選定して、最良のワインを造っています。


この畑のブドウは良くても、あそこのは悪いなど、ワインは生き物で、往々にその年はダメだとは
言えないと言います。
2017年のフランスワイン生産量は、戦後最少になるんじゃないかとの予測が出ています。
やはり遅霜の影響なんだそう。しかし、生産量減(不作)=品質の低下ではありません。
今年も一部被害はあったそうですが、実がたっぷり付いたブドウが育っていて良い年になりそう、と
期待は十分持てそうですよ!
 

 

今回訪問させて頂いたワイナリー全ての方々が、より美味しいワインを造ろうと、守るべき伝統を残し、
取り入れるべき新しい方法、技術を受け入れ、日々取り組んでおられる姿に感銘しっぱなしで
そこには造り手の心意気と使命感、愛を感じました。
そんな彼らの思いを皆様にもお伝えしていきたいと思います。


短い期間でしたが、出会った全ての人達、大空、大地は、都会で働く私にとって
忘れていた大切な何かを思い出させてくれる様な、そしてワインのことのみならず
たくさんの事を教えてくれた、そんな素敵な旅でした。

朝晩はようやく過ごしやすくなってきました。皆様ゆっくりとワインを飲みながら
秋の夜長を楽しんで下さいませ。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

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