ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

ワインの造り手の人と成り

このところコラムのネタに困って身を削って、
昔の自分の写真を掘り返しての苦しい掲載が続いてましたので、
今回は気合を入れなおし頑張ります!

新年を迎えたと思ったら、もう3月、春がやってきました。
このコラムを読んでいただいているお酒好きのみなさんの中には、
そろそろお花見の計画を立てている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

お花見って素敵な習慣ですよね。
残念ながらフランスには日本の様なお花見の習慣はないようです。





それもそのはず。
古来、日本では花見は神事であり、宗教行事だったそうです。

桜の開花は農耕民族の日本人にとって、
田植えの時期を教えてくれる重要なサインでもあり、
その花の咲き方や散り方などから作柄を占っていました。

重要な神が宿る木として、桜は人々の信仰の対象となり、
贅沢品である酒や料理をお供えするようになり、
その"おさがり"を頂いたというのが花見の習慣のはじまりのようです。

もちろん、儚さやワビサビを美徳とする日本人の精神的美的感覚にも
桜が一気に開花し、散ってゆく姿は、
昔も今も美しくうつっていることも花見が定着した一因かと思います。



そういえば、数年前の今頃の時期に、
南フランスでワインの造り手さんと散歩がてらお花見をしました。

そうだ!急に思い立ちました。今回は当時に思いを馳せながら、
「南仏でのためにならない話」を勝手ながら書かせていただきます。






南仏の街モンペリエ旧市街のオペラ座でのワイン生産者とのパーティーにて
  
 


花見といえば思い出すのは、ドメーヌ・ド・ラ・フェランディエール
もちろんワイナリーなんですが、プラムやリンゴも栽培しています。
(現地の農家ではワイン用ブドウだけでなく、
いろいろと作るのは珍しいことではないんです)

その時咲いていた花は確かプラムの花。
もちろん観賞用でなく実益を兼ねているため、整然とプラムの木が並んでいます。

シートを敷いてお弁当とワインを持って…とはいきませんでしたが、
散歩がてらに見るプラム並木はなかなかにきれいなものでした。




ドメーヌ・ド・ラ・フェランディエールのジャックさんと
ジルさんの花見?!じっくり見過ぎです(笑)
 

   
   



ワイナリー入口には、素晴らしい彼らのワインが掲載された
「アシェットワインガイド」が貼ってあります・・・が、その間になぜか「営業中」の文字が。



こんなに人里はなれた山奥にも日本人が来るんだ…と感心してジルさんに聞いてみると、
「いや、日本人はほとんどこないよ。あなたたちの前はいつだったか覚えてないくらい」との答え。

じゃあ明らかに異質なこの「営業中」の文字はなんで?
「友達の日本みやげなんだ。Coolだろ?おかしいかい?」
(注:語学が苦手な私流の意訳です)

「いえ、大変Coolでございます…」
   



ジャックさん、見事トカゲを捕まえました。後で野に放ちましたのでご安心を。


その後、ワイナリーや畑を見て回り、
突然童心に返った当主ジャックさんと一緒にトカゲを追いかけたりしながら、
ワイナリーでの素晴らしい時間を過ごしました。

(決して遊びに行ったのではありません)
     



翌日は南仏でも単一品種で作られることの少ないピクプー種で
美味しいワインを作っているマークさんのワイナリーへ。

はるばる南仏まで来たのに、あんまり多くを語ってくれません。
機嫌が悪いのかなと思っていると、同行していたマークさんの友人(フランス人)が一言。

「彼はとってもシャイなんだ。山奥に住んでいるし、彼の一番の友人は飼い犬だよ」
(もちろんビミョーなフレンチジョークです)

しばらく一緒にいると、本当に素朴な良い人なのが伝わってきます。
考えてみれば、訪問客もそんなに多くない山奥のワイナリーに、
いきなり遠いアジアの日本から人が訪ねてきたら、びっくりするのも当然。

しかし、その日のランチは素晴らしい歓迎を受けました。
マークさんのワイナリーはピネ村という海からそう離れていない場所にあります。
マークさんはランチに海の見えるレストランを予約してくれました。
しかも、日本人ならSUSHI、SASHIMIは大好きだろうということで
フランス版お造り盛り合わせ、「プラトー・ド・フリュイ・ド・メール」をお願いしてくれていました。
     



  写真はごく一部です。魚介&ピクプー・ド・ピネ(白ワイン)絶品でした。



感激して、存分に楽しんでいると、おかしなことに気付きました。

マークさんが全く料理に手をつけていない!

しまったーっ(汗)

手を合わせて「いただきます」を忘れたか?

食べ方間違ってる?

がっつき過ぎたか?

お行儀の悪さに引いてしまっているのか?



冷や汗を垂らしながら、
「美味しいですよ。マークさんも一緒に食べましょう」 と言うと、驚きの一言が。

「実は、僕は生モノがダメなんだ。」

えーっ!あなたがオーダーしたんですよ。

どうやら自分は食べれないけれど、
現地の美味しい特産物を食べてほしくて頼んでくれたみたいです。

なんという献身的なおもてなし。しかもこちらが聞くまで言わないなんて…。
寡黙な人柄といい、日本には少なくなったサムライの魂を見ました!

まさかまさかの南仏で遭遇!ラストサムライ万歳!!(大袈裟ですみません)

でも、こんなに魚介と相性の良い白ワインの造り手さんが生モノは食べれないとは、何という矛盾。
この世界にはうまくいかないことが多いものです。


時系列はむちゃくちゃに思い出すままに「南仏でのためにならない話」を書き綴ってきましたが、
きりがないので今回はこのへんで。


ただ、ワインの味は日本で味わえても、造っている人と成りはなかなか感じる機会は少ないものです。

私たちがお付き合いするワイナリーの判断基準に「味」「品質」「価格」はもちろん、
「良い人」かどうかが重要な項目であります。

ワインは人が造るもの。信頼できる人が造るワインには、やはりその味わいがあります。

今回のコラムは言葉どおり、何のうんちくにもなりませんし、ためにならない話ばかりです。

ただ、私が現地で過ごした短い時間の中で、彼らの人柄を感じた印象的な出来事を綴ったものです。

こんな筆下手な私のコラムではありますが、
皆さんに生産者の人柄をほんの少しでも感じて頂くことが、
ワインをさらに美味しくするひと匙の調味料となれば幸いです。

ついでにPRを少しだけ。私のおりますビストロ・ダ・アンジュにワイン生産者が来られます。
3月12日(月)は、フランス南西地方プレイモン
4月14日(土)にはシャンパーニュ ルネジョリーのピエールエリックさんが来店され、
生産者と共に楽しむ、特別ワイン会のイベントを行います。

イベント情報もHPでご確認頂けましたら光栄です。
みなさん楽しい方ですので、その人柄も知っていただけると、私としてもすごく嬉しいです。

最初はお花見についてのコラムにするつもりだったのに、
またまた脱線どころかまったく別路線へ進んでいってしまいました。

でも、この計算通りにいかないけどなんだか楽しいのも南仏風!?
なんて自分を納得させてます(笑)

また来月お会いしましょう!

 



 

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