ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

冬の愉しみ♪ ジビエ料理

みなさん、こんにちは。
今年は本当に秋が短かったですね。

こないだまで暑い暑いといっていたのに、あっという間に冬将軍の到来。
もう目の前にはクリスマス、お正月です。

これからもっと冷え込んでくると思うと、
自転車に乗る機会が多い私にはつらい季節。

でも、寒い冬にも愉しみはいっぱいあります。

フランス料理において、冬の楽しみといえばやっぱりジビエ料理!
ジビエ(gibier)とは、“野生の鳥獣類”のこと。
少々、説明が続きますが、しばらくお付き合いくださいね。


つまり、ジビエとは狩猟が解禁になる時期を中心に、
猟師が捕まえるなどした野生の動物のことです。
冬に備えて木の実や虫を食べて栄養を蓄えた野禽獣の肉をフレッシュなうちに、
あるいは熟成させ、野趣あふれる料理に仕上げられた一品を楽しむのが
この季節のフレンチの醍醐味でもあります。

一年のうちでこの時期にしか味わえないジビエ料理。
食べやすいものから野趣あふれる香りの強いものまで、その種類は様々。
私たち元来農耕民族の日本人にはなかなかピンとこないものかもしれませんが、
考えてみれば人間が飼育せずに育ったもので、
旬の味わいを持っている食材ということを考えれば、
狩猟民族であった欧州の人たちにすれば、もっとも自然な食なのかもしれません。

鳥類のジビエで代表的なものといえば山バト(ピジョン・ラミエ-写真①)、
山ウズラ(ペルドロー)、山シギ(ベカス)、キジ(フザン)、青首真鴨(コルベール-写真②)、
雷鳥(グルーズ)など。獣類は野ウサギ(リエーヴル-写真③)、鹿(シュヴルイユ-写真④)、
仔イノシシ(マルカッサン)など、並べ上げるだけでよだれが出そう♪
     



ジビエの挿絵です。実物の写真は控えさせていただきます(笑)
 

これらはいつでも食べられるわけではなく、解禁日が決められています。
フランスの解禁は10月中旬から翌年2月中頃まで、
日本での狩猟の解禁時期は11月中旬〜翌年1月中旬までですが、
その年や場所によって多少変わります。

そして、ジビエをおいしく食べるために不可欠なのがフザンタージュ=熟成です。
フザンタージュという言葉はキジ(フザン)を熟成させると
肉質も風味も大きく変化することから肉を熟成させること、
その行為そのものを指す言葉へと派生したようです。

ジビエの熟成のさせ方は様々、肉をさばいてから熟成するやり方もあれば、
羽と内臓を取らずに吊して、股の毛が落ちるくらい、
あるいは首が落ちかけるくらいまでおいて熟成させたり。

ただ、都会の街中のマンションで
そんなフザンタージュをやっているのを想像すると、ぞっとします。
ベランダにぶら下げたりしてると通報されかねませんので
美食家の皆さんはお気をつけください(笑)



当店に先日入荷したキジとヤマウズラです。





もし、恐竜が人間と同じ時代に居たら、ジビエ料理として食していたんでしょうかね(笑)



そういえば、数年前に丹波篠山から野生の猪を入荷したとき、
半オープンキッチンの当店でさばいていると、
猪の顔がカウンターから店内を覗く形になっており、
お客様を驚かしてしまったこともありました。

(ちなみにその時の猪の鼻肉のポトフーが絶品でした)


      


いろんな意味で、取り扱い要注意なジビエ・・・。



そんなジビエ料理ですが、日本だけでなくフランスでも
最近のお客様の嗜好があまり香りの強すぎるものを好まない傾向もあり、
フザンタージュをあまりしないでフレッシュのまま調理するレストランも増えています。流通が発達したことも一因にはあると思います。

そうして、料理自体も軽くなったこともあり、
ジビエ料理は、かつてのフランス料理好き、
あるいは猟師料理といった形での一部のお客様だけの料理から、
より一般的な冬の定番へとここ数年で変わってきました。



蝦夷鹿のロースト ソースグランヴヌール♪




しかし、料理人にとっては昔も今も、
最も食材との対話が必要となる食材であることに変わりはありません。

野生の個体である分、それぞれに状態も違い、熟成度も違います。
またジビエは肉質が引き締まっており、脂が少ないため、
火入れのポイントを間違うと肉はパサつき、
その本来のうまみを引き出すことができません。

その狩猟に携わる人間と料理する人間と食材。
この3者の真剣勝負によって出来上がる冬のジビエ料理。

そりゃぁ楽しみなのも無理はないでしょう♪
って、ついジビエについて語りすぎました。

そして、ジビエ料理を存分に楽しむのに欠かせないのがもちろんワイン♪♪
では、どんなワインを合わせるのが良いのでしょうか?

もちろん、ジビエには個体差があります。
例えば、同じ野鳥でも内陸で取れたものは木の実や穀類、虫を食べますが
海岸側で獲れる鳥は魚を食べるものもあります。

肉の熟成具合も様々。熟成がすすむとタンパク質の分解が進み、
アミノ酸が増えるためうまみと香りは増しますが、同時に臭み、クセも強くなってきます。

そんなジビエ料理なので、ひとまとめにはくくれないのが本当のところ。
それでも、しいて上げるのならば、目には目を、歯には歯を、獣には獣を・・・
というわけで獣臭、動物的な香りのあるワインを合わせるのが良いでしょう。

「動物的な香りって言われても、どんな香りか具体的に解らない」と
おっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

よくあるソムリエ用語では「なめし皮」「麝香」「赤身肉」など、
白ワインによく使う表現では「ネコのおしっこ」なんて表現もあります。

私が最も実感しやすい動物臭は洗ってない飼い犬の首輪の裏っかわのにおい(笑)



ワインの動物臭って、昔飼っていた愛犬を思い出すんです。
もっとちゃんと洗ってやれば良かった・・・反省




このぎりぎりのラインが良い香りなんですから驚きます。
自分ってちょっとアブナイ嗜好があるんじゃないかと不安になる瞬間。
でも、ブルーチーズもそう、納豆もそう、くさやもそう、鮒寿司もそう。
癖になる食べ物には紙一重の香りがあるものです!

では、具体的にお勧めのワインを。



シャトー オーブランヴィユ グランキュベ
2007年ヴィンテージのこのワイン。今が最高の飲み頃です。
まさになめし皮や鉄分の香りにやや甘いスパイス香が混ざり合って、
本当に良い熟成をしています。
やや熟成した山ウズラや青首真鴨とあわせたいですね。


もうひとつお勧めを。



モナストゥリ・ド・サンモン ルージュ
こちらはフランス南西地方のワインで2003年ヴィンテージ。つまり10年熟成です。
南西地方のワインで主要品種となるタナ種は
その語源は「タンニン」というのだから渋いワインの代名詞のような品種。
渋味の強い個性のワインが、熟成によりまろやかさを帯び、現在非常に良い状態です。
しっかりと鉄分の風味を感じドライな印象なので、
蝦夷鹿のもも肉のグリルなどとあわせると良いと思います。

今回はすっかり長くなってしまいました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。

とにかく季節限定のジビエ料理。
ノーベル平和賞のマータイさんも「MOTTAINAI」という言葉に感銘を受けたと話してました。
きゃりーぱみゅぱみゅさんもCMで「もったいないから」と歌ってます。

私も声を大にして言いたい!
「ジビエを食すのにワイン無しなんてモッタイナイ!」
なんて(笑)


 

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