ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

ワインと人と矛盾と幸福と

毎日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
わたくしの方はと言いますと、
大阪みなみの地下1階ビストロ・ダ・アンジュで、
おかげさまで相変わらずバタバタと忙しくさせていただいております。

この季節、仕事終わりの一杯といえばやっぱり…ビールですよね。
これほどまでに市民権を得るお酒は、この先出てくるんでしょうか?
そこは私も抗うことはできません。

もちろん、夏においしいワインもたくさん。
最近では夏に美味しいワインの飲み方もいろいろと提案されています。

ソーダで割ったり、オレンジやレモンを漬けこんだり、かち割りワインも人気です。
が、やっぱり、そう来たかと思われるのも不本意なので(笑)
今回は、あえて視点を変えて、「ワインの持つ、人と似た個性」について。

まずは熟成。
○○年熟成のワイン、○○年ものなどという言葉は良く耳にしますが、
熟成とはどういう変化なのでしょうか?

端的に言うと葡萄品種やテロワール、
生産者の個性などがあるワインから発酵後の粗さやその要素がそぎ落とされ、
複雑な香りやまろやかな味わいとなる変化です。

つまり、産地や品種、収穫年によっても飲み頃は異なり、
「古ければ古いほど良い」というものでもないです。

ワイン好きのみなさんには釈迦に説法かもしれませんが、
新酒のお祝いとして楽しむボージョレ―ヌーヴォーを
10年20年寝かせて楽しむようなことはしませんよね。

赤ワインを代表にお話しさせていただくと、最初は紫がかった濃い色合いの、
まさに「ブドウのお酒ですっ」という色から、
年数が経つとオレンジがかった淡い色合いのワインへと変化していきます。


味わいも葡萄の皮を口に含んだような渋い味わいがだんだんとそぎ落とされ、
まろやかな味わいへと変化していきます。




収穫後すぐ、醸し中の葡萄。ぷつぷつと発酵によって生まれた炭酸ガスが出てきています。
まだまだ葡萄ジュースそのままの色と味。





出来立てのワインをテースティング。フィルターもかけていない為濁っていますが、 まさに葡萄の皮の色そのまま。
空気を含ませるのにグラス同士でデキャンタージュしています。
はつらつとしたフレッシュそのものの味わい。これもワインの楽しみのひとつ。





かたや、先日当店で開けた熟成ワインの数々。 左から11年熟成「モナストゥリ・ド・サンモン
36年熟成「シャトーラグランジュ」(ボルドー、メドック3級格付け、貴重な旧ラベル)
42年熟成天然甘口ワイン「リヴザルト」(ビストロ・ダ・アンジュの創業年です♪)
はかなくも繊細で深い味わいは熟成ワインならでは!




そういえば100年位前のヴィンテージのシャトーラトゥールが
50万円程で売っていたのを見たことがあります。
1cc=670円、つまりグラス1杯くらいで6万7千円という価格!
もちろん興味は大アリですが、
こういう計算をしている貧乏性な私には、めぐりあわせはなさそう。

話を戻して、若い時はパワフルだけどちょっとトゲがある。
歳を追うごとに、味わい深くなめらかに。
まさに歳を重ねるのにともなう人の本質の変化のようです。
人間は時の流れとともに老化しながらも成長していく。
私も失う若さ以上に価値ある人間になっていたいものです。

つぎに「葡萄の樹齢」による違いについて
ワインのラベルを見ていると、
しばしば「Vieille Vigne ヴィエイユヴィーニュ」という言葉を目にします。

これは「樹齢の高い葡萄の果実を使用してますから、値打ちありますよーっ!」という意味。




当店の シャブリプイィフュイッセマディランエスプリドヴィーニュにも "ヴィエイユヴィーニュ"の文字が。



樹齢が高いとなぜ良いのか?
葡萄の木は年を取るほど根を深く伸ばします。
より深い地層のミネラルを吸収することができるようになるのがひとつ。

もうひとつの理由は若い時は葡萄は瑞々しく水分たっぷりの果実を付けます。
さながら10代のぷりっぷりのお肌のよう。
それが年を取るにしたがって水分量が少なくなり、付ける房の数も減ってきます。
悲しいかな人間も年を取ると肌が乾燥しがち、化粧のノリも悪くなる…。

ただ、決定的に違うのは人の場合はお肌のつやがなくなるのは
マイナスの非常事態ですが、ワイン用の葡萄において、水分量の少ない果実は、
よりエキス分の凝縮したジュースを得るもとになるということ。
だから、葡萄の「最近小じわが気になって」は値打ちがあるんです!

より深〜く思いをめぐらせると、人の手を介した創造物でありながら
人の力では作り得ないテロワールや自然の力を求められる
ワインという飲み物は大きな矛盾を抱えています。

そして、人間も矛盾だらけですよね。
大変な仕事ほど幸福を感じたり、けんかするほど仲が良かったり。

その矛盾にこそ、人とワインの尽きない魅力の秘密があるのかもしれませんね♪

なんだか最近、夜中にアランの「幸福に関する語録」を読んでる影響が…
「幸せになりたい人は舞台に上がらなくてはならない」とアランは記しています。
つまらない芝居を見ると退屈しますが、
自分が芝居に出る時にはつまらない芝居でも退屈しない。
幸福を得るためには、人生の主役になって前向きに努力することが何より大切。

なるほど、徹底的に行動主義です。
50万円のシャトーラトゥールを飲む舞台にはなかなか上がれませんが、
私も日々、しっかりと自分の人生の主役になって努力したいと思います。

まずは私の生まれ年のワインの味わいに負けないように頑張りまーす!(笑)



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