ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

フランス、ガスコーニュ地方のワイナリー 「プレイモン」訪問記 その1

私、昨年11月にフランスはガスコーニュに行ってまいりました。
遅くなりましたが、今回はその旅行記をご報告させていただきたいと思います。

まずは1日目。
深夜、ボルドー メリニャック空港に到着。
毎回、海外に来ると感じるんですが、その国ごと、空港ごとの独特の香りがあります。
子どもの頃、友達の家に遊びに行くと何か違和感のある匂いがするのとちょっと似てます。
バンコクに行ったときはマナオ(タイのライムみたいなの)の香り、
韓国に行ったときはキムチの香り…。

食文化が空港の香りにあらわれるのが面白いですね。
大きな国際空港は香水の香りが充満してるところも多いですけれど。
この空港は、コリアンダーや白胡椒、レモングラスのような
スパイスとハーブの入り混じった独特の香り。
香りでヨーロッパに来たことを実感します。
到着が真夜中だった為、はやる気持ちを抑えながら眠りにつきました。


翌日、いよいよガスコーニュへ。
ボルドー市内から車で約2時間走ったところに
今回訪問する生産者プレイモンのワイナリーがあります。

といっても実は「プレイモン」は約1100人もの小さな生産者の集合体。
その産地もガスコーニュ地方の各所にあります。





  フランスの南西地方、ワイン生産エリアは広範囲です。


「高品質なワインづくり、受け継いできた伝統、土地の個性を守り続けることで、
ガスコーニュの未来を担っていく。」
この志のもと、1979年に地元のカーヴが結集して出来たワイナリーなんです。

その中で、まずは重厚な渋みが特徴の赤ワイン「マディラン」と
官能的な甘口ワイン「パシュラン・デュ・ヴィクビル」の生産者である
フレデリック・コリーヌ夫妻の畑へ。

甘口ワインの原料となる品種。グロマンサン、プティマンサン、アルフィヤックの畑を視察。
みなさま、聞きなれないカタカナが並びましたが、全てこの地方の土着の葡萄品種です。

品種名、みなさんは覚えなくてよいですよ!それは、私たちの仕事です。
ただ、これこそが、プレイモンの特徴。
流行りに流されるのではなく、昔からこの地で育まれ、
守られてきた葡萄の栽培を続けていき、
伝統的なガスコーニュならではの個性を持ったワイン作り。

「La mode est mode, le style jamais. 流行は通り過ぎるけれどスタイルは不変」
ココ・シャネルもこう言ってます。

わかっちゃいるけど実践するには勇気と辛抱が必要なもの。
当店ビストロ・ダ・アンジュにおいてもメニュープランやワインリスト等々において、
常々頭を悩ませてますのでこの言葉を実践する志の強さがひしひしと伝わってきます。



   フレデリック・コリーヌ夫妻と




少しではありますが収穫にも参加、そして、
畑の前でフレデリック氏が栽培している栗を焼いていただきました。

収穫時に焼き栗と一緒に収穫したての葡萄のモスト
(ワインにする前の葡萄ジュース)を楽しむのが毎年の習わしなんだとか。

しかしながら、改めて手作業の大変さを実感。
私はさわりだけの参加でしたが、中腰での作業が続く収穫を
広大な畑すべて行うとなるとかなりの重労働。

「手摘み」この3文字に込められた苦労を思い、
日本で飲むときも感謝を忘れてはいけないなぁと実感いたしました。






ちなみに、訪問したのは11月。
葡萄の収穫としてはやや遅め。
今回収穫した葡萄は遅摘みの葡萄で、糖度が高く、甘口ワインの生産に使用されます。
実際この地域の最後の収穫は毎年12月31日、大みそかに行われ、
その畑からは特別なワインが作られます。

大みそか当日の夜にたいまつを持って収穫し、
そのまま年越しを皆で祝うそうで、とっても幻想的で素敵なんだとか。
すご〜く楽しそうです♪
が、大みそかも毎年大忙しなので、なかなか伺えそうにはありませんね。
残念!!


その日の夜はなんと、11世紀に建てられた修道院に宿泊することとなりました。




全く人工的な音や光のない空間。
シーンと静まり返った部屋では自分の歩く音や息をする音にも気が付きます。
いかに普段は音にあふれた世界で生活しているか。
やはり人間の生き物としての生まれながらの感覚は、
世界が便利になるにつれ鈍化していってしまっているのかも?
そんなことを感じる夜でした。

ちなみに
修道院の目の前の歴史ある畑からは素晴らしいワインが作り出されています。
カリテでも購入できますのでぜひ(笑)

窓から朝靄のかかった風景はとっても幻想的♪ 実際の風景もまさにラベル通り、それ以上の美しさ!


そして、ガスコーニュ地方での食事はフォアグラ抜きには語れません!
滞在期間中はワイナリーの方の好意もあって、毎日フォアグラを堪能しました。
うらやましいと思う方も多いでしょうが、そこは日本人の胃袋の私。

美味しいのはもちろんですが、なかなかヘビーでございまして・・・。
試しに「明日はフォアグラなしでも良いですよ」
なんて言ってみようもんなら、
「ガスコーニュに来てフォアグラなしの食事はあり得ないよ(笑)」
と返される始末。



これでもかっ!その1  皿いっぱいのフォアグラのテリーヌ




これでもかっ!その2  鴨のワイン煮込み


そんな楽しい食卓を囲みながら話した、ちょっとためになるお話。

みなさま、「フレンチパラドックス」(フランスの逆説)をご存知でしょうか?
フランス人は動物性脂肪をたくさん取るのに心疾患が少ない。なんで?
⇒それには、ワインの消費と関連が!

非常にざっくりですが、これが有名なフレンチパラドックス。

でも、ガスコーニュに住むみなさんに言わせれば、
「本当は違う、ガスコーニュパラドックス」
なんだそうです。


解説すると、主に心疾患の原因となる飽和脂肪酸は肉類に多く含まれており、
悪玉コレステロールや中性脂肪を増やします。

基本的にガスコーニュ地方の郷土料理は調理にバターでなく、
オリーブオイルや鴨の脂を使用します。
その脂に含まれる飽和脂肪酸はバターの1/2以下。

南西地方が誇る特産物、フォアグラについても、
脂質は多いが飽和脂肪酸が少なく、
不飽和脂肪酸が多いそうで、
不飽和脂肪酸は善玉コレステロールを増やすなど、 良い働きをするんだとか。

さらにさらに、この地方の赤ワインは抗酸化に効果が考えられる
ポリフェノールの含有量が多い。
つまり、フランスの中でも特にガスコーニュの食とワインに、
より効果的な関係性があるということだそうです。

ちょっと難しい言葉が並びましたが、実際、
フランス内でも特にガスコーニュ地方はワインの消費量が多く、平均寿命が長いんです。

みなさんもぜひフォアグラや鴨を食べるときはガスコーニュのワインを飲みましょう♪
もちろん、「何事も過ぎたるは及ばざるがごとし」は肝に命じて(笑)

この後も現地のシェフと料理をしたり、歴史的な畑を訪れたりと
まだまだ尽きない話があるんですが、そこは遅筆の私、続きは次月へと持ち越しで。
また来月お会いしましょう♪


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエ 井上 剛



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