ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

ニッポンの梅雨、ニッポンの夏

6月です。もう夏もすぐそこ!というか、もう到着しちゃってます!!
そして梅雨の季節も到来です。ジメジメして、高温多湿な日本の夏。
不快指数って言葉があるくらいですから、その影響や恐るべし。


なにかとネガティブな印象がある梅雨ですが、本当はみんなわかってますよね。
決して不必要なものではありません。

梅雨がなければ日本は深刻な水不足に悩むことになります。
もちろん、基本農耕民族である私たちにとって「めぐみの雨」という言葉があるくらい、
雨は貴重なものですし、豊かな四季の移ろいを感じるうえでも大切な時期です。


子供の頃を思い返せば、雨が降ろうが降るまいが、遊ぶ遊ぶ。

スニーカーを履くか長靴を履くかの違い、
登下校時の脇道の木からカブトムシをつかまえるか
アジサイについているカタツムリやカエルをつかまえるかの違いはあろうものの、
ドロドロになりながら楽しく過ごしていました。
  

写真は調理後イメージです(笑)



きっと、両親には大変な迷惑だっただろうなぁと、今にして思います。

セミの抜け殻を集めて帰ってくる我が子を見て、
ダンゴムシをいっぱい捕まえてきて家族に悲鳴を上げられる我が子を見て、
帽子の中にカタツムリを集めて澄んだ瞳で「飼っていい?」と聞く我が子を見て、

奔放に育ててやりたいという気持ちと、
「いやいや気持ち悪いやろ」という大人になってしまった
自分の冷めた本音の気持ちが入り混じり、

今更ながら当時捕まえてきたザリガニや亀を飼わせてくれた
両親の寛大さに感謝しきりです。



もちろん、長雨は気を滅入らされることもありますし、
限度を超えた大雨には頭を悩ませられることも多いです。

ビストロ・ダ・アンジュでも昨年の大雨の際、
雨漏りに襲われるという大変な事態に見舞われました。

当店でフランス料理をお召し上がりのお客様の隣に鎮座したワインクーラーには
本来いるべきはずのワインの姿は見えず、
代わりに天井から滴る雨漏りを受け止めます。

BGMのシャンソンにはポツン、ポツンという合いの手が。
雨が長引くにつれ、店内に雨漏り受けのワインクーラーが増えていき、
BGMも賑やかに。


   なかなかレアな空間でした。

運悪く遭遇してしまったお客様、その節は大変ご迷惑をおかけいたしました。



このような状況で大変な迷惑を被ったのですけれども、
大きな自然の力の中で生きていくしかない私たちにとって、
この自然の脅威と惠みを受け入れて感謝と工夫を持って過ごしていく事が必要です。

ちょっと真面目な話でまとまったところで、今回のワインの話。
じゃあ葡萄栽培において梅雨ってどんな影響があるの?
ということなのですが、
ご存知、梅雨は日本や東アジアにはありますが、
ワイン造りの主要産地、ヨーロッパには梅雨はありません。

当然、葡萄栽培にも違いが出てきます。
実は日本はワイン用葡萄の栽培地としては降水量が多め。
降水量が多いと、収穫量が増加しエキス分の凝縮度が上がらない。
カビに由来する病気の頻度が高い、糖度が上がりにくい、
果実がつぶれやすいなどの問題があります。

それでも、近年「ニッポンのワイン」は国内外で評価を上げてきており、
品質も向上しています。


それにはやはり、生産者のみなさんの大変な努力があります。
葡萄畑への排水溝の設置、畝ごとこの時期はビニールで覆ったり、
なんと一房ずつ雨除けに紙をかぶせて行ったり・・・。



ひと房ひと房、手作業で紙がかぶせられています。


何万という房ごとに紙をかぶせる作業などは
ヨーロッパの生産者から見ればアンビリーバボー!!
あり得ないほどの細かい作業かもしれません。

それでも、そんな地味な作業の積み重ねの上に、素晴らしいワインは産み出されています。

お酒の席は華やかなもの。
ワインも普段飲みから特別なシーンまで演出してくれる華やかな飲み物です。

でも、その素晴らしい味わいの裏付けには大変な努力が隠されていることを
この梅雨の長雨の時期に感じ、感謝したいと思います。

ついでに本格的な夏を前にしてワインの保管についての知識を伝授いたします。
ワインの保管には押さえるべき重要なポイントは6点。

  1. 温度
  涼しくて、温度変化の少ないところ。15℃くらいがベスト


  2. 湿度
  いろいろと嫌われがちな湿度ですが、実は湿度は高めの70~80%位がベスト。
  コルクの乾燥を避ける目的があります。
  でも、当然ラベルにカビが生えやすいので注意が必要!!


  3. 光
  直射日光などもってのほか!暗いところがベストです。


  4. 振動
  ワインは瓶詰後にも熟成する飲み物。
  熟成中の振動は味わいにも当然影響を与えます。
  静かな場所を選びましょう。


  5. 匂い
  コルク栓は匂いを通します。
  ニンニクや玉葱など匂いの強いものを近くに置くのは避けましょう。


  6. 横に寝かせて保存する。
  立てて置いておくとコルク栓が乾燥し、空気が入りやすくなり、酸化の原因となります。
  長期保存する場合は横に寝かせておくのが良いです。



以上6点、と言われても家庭でこれだけの環境を整えるのって、なかなか大変ですよね。
ご心配なく、書いたのはベストの話です。


もちろんワインの保管するうえで重要なことですが、家庭により優先事項が違いますから。
「この夏はワインの保管の為に部屋のエアコンは15℃設定にしてコタツで過ごす」
なんて、エコ推奨の世の中で訴えられそうな生活はやめてくださいね。
(誰もしないと思いますけど)

じゃあ高温多湿の日本の夏を乗り切るにはどうしたら?
という質問には100点満点の答えが無いのが実際のところです。
もちろん自宅地下深くにワイン用の洞窟を掘って倉庫を作れるという
財力をお持ちの方は今回対象にしておりません(笑)



こんなの作れたら最高♪ちなみにシャンパーニュルネジョリーのカーヴです。



考えられる環境の中で、
ワインセラーがあればとても良いです。
最近では家庭用の数本から使える比較的低価格のワインセラーも発売されています。


無理なら、
ワインを新聞紙にくるんで床下収納があれば、なければ押入れの奥にしまっておく。
それでもニッポンの夏は脅威です。
あくまで、まだましな環境くらいでお考えください。


それも無理なら、
冷蔵庫の野菜室に入れておく。
本当は冷蔵庫はあまりワインの保管に向きません。
ずっと振動していますし、湿度も低い、温度もやや低すぎる。
匂いが移りやすい食材もあるかもしれない。


ですが、一番の大敵、高温を避けるためにはやむなしといったところでしょうか。
なかでも温度が高めで湿度が高めな野菜室が比較的向いています。
ただし、くれぐれも長期保存には向きませんのでご注意を。



どうですか?実際のところなかなかご家庭での長期保存は難しいです。
正しく保管されたものを購入するのがもうひとつの重要ポイントかもしれません。

いろいろと書きましたが、どう楽しむにせよ、
要は日本の気候を受け入れどう付き合っていくか。が大事ですね。

相手の事を理解して、完璧ではなくても受け入れて付き合っていく。
ナルホド、ワインとのお付き合いが上手くできれば
人づきあいや色恋沙汰もうまくいくかもしれません♪

彼氏、彼女が欲しいと四六時中話しているそこのアナタ、
旦那さん嫁さんとここのトコロどうも上手くいってないというそこのアナタ、
ワインとのお付き合いから学んで、一緒に乾杯してはいかがですか?


あっ、その時のご注文は、くれぐれも当店でお願いしますね(笑)


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエ 井上 剛



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