ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

冬の楽しみ、ジビエ  〜Le Gibier〜


ついこの間まで「暑い暑い」と言って、少し涼しくなったらボジョレーヌーボーが解禁になり、
気が付けばもう12月。もうすっかり冬の到来です。一年ってホント早いですね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?    

箱を開けるのもドキドキワクワクします。
今年のヌーヴォーは果実味多く複雑味もあり
前評判通り、とても美味しかったです。
南仏の新酒で    
シャーベットを作りました


こう寒くなると、あぁジビエの季節だなぁと感じます。
フランス料理で旬の味わいを最も感じさせてくれる素材、
それはジビエをおいてないだろうと思います。

ジビエとは"野生の鳥獣類"のこと。
狩猟が解禁されるこの時期に猟師が捕まえる野生の動物のことです。

冬の寒さに備えて木の実や虫をたくさん食べて栄養を蓄えた
野禽獣の野趣あふれる料理を楽しむのがこの季節のフレンチの醍醐味です。
仏教の戒律で肉食を禁じられていた時代があったり、
元々農耕民族であった日本人にとってはあまり馴染みのある存在ではないかもしれませんが、
フランスをはじめヨーロッパの各国では野山を駆け巡り、
大空を羽ばたく野生動物の肉が、あらゆる高級食材をしのいで花形の位置を築いています。

フランスでは
一般の家庭でも主婦が
お肉をさばいて
ジビエ料理を作ります。


ヨーロッパの史劇何か観ると、貴族が馬に乗って狩りに行き、
夕食ではその野禽類の丸焼きがテーブルいっぱいにのせられているシーンをよくみます。

狩猟は中世の時代から王侯貴族の社交の一つとして栄え、
必須のたしなみとされていましたからヨーロッパの人たちにすれば、
もっとも自然な食なのかもしれません。

しかし料理人にとっては最もその食材と向き合わなければならない難しい食材。
野性味、いわゆる個性が強く、主張のある味わいを損なうことなく、
かと言って誇張しすぎず調理するのは腕の見せどころ。

ジビエの質の見極めも大切。自然環境で育つ個体と市街地で暮らす個体との味の差は歴然。
また、年齢によっても肉質や味もずいぶんと違ってきます。
そして腕前もさることながら的確で迅速な処理のできる猟師の技術も大切です。
猟師と料理人と食材、この三つがあいまっての冬のジビエ料理。

そしてジビエ料理を存分に楽しむためには、やはりワインが欠かせません!
獣には獣を・・・ということで、よくあるソムリエの香りの表現用語で言うと
「なめし革」、「麝香」、「赤身肉」の香り。白ワインでは「猫のおしっこ」なんてのもあります。
臭いもの好きの私にとっては、この微妙な香りが何とも芳しく食欲をそそるんです。





この季節に飲みたい南仏のシラー「モミジ」  
まさに、なめし革、湿った落ち葉、スパイスと複雑な香りに濃密な口当たり。
青首真鴨(コルヴェール)、山鳩(ピジョン・ラミエ)のローストに
内蔵を使った濃厚なソースと合わせたいですね。

もう一つ、フランス南西地方「マディラン」 この地方の主要品種タナの語源はタンニン=渋味。
6年の熟成を経て、その渋味はワインに溶け込み丸くなり、
ダークチェリーやカシスの果実味は鹿肉のパテと相性抜群。 

鹿肉はマンゴーや洋梨など甘い果実との相性がよく、
果実味の多いワインはお互いの旨みを相乗させます。




それから、これからの時期、シャンパーニュでアペリティフからメインのジビエまでいかがでしょうか。
ブドウの出来が素晴らしい年にだけ造られる、ヴィンテージシャンパーニュ。
樽で発酵させ、瓶の中で36ヶ月間、澱と一緒に二次発酵を行うため、
澱からの旨味がシャンパーニュに充分に還元され溶け込んでいます。
力強い香りと味わいはジビエにも負けませんよ。大きいグラスで飲むと更にその旨味が感じられますよ。

      

フランスではジビエのシーズンが始まると、レストランは俄然活気づいてきます。
秋には野生のキノコが、冬になるとトリュフも出てきます。 一年で一番楽しい季節です。
そして最高の美食シーズンです。思う存分楽しみましょ〜!


一年早いもので、今年最後のコラムとなりました。
本年も、こちらのコラムをご拝読頂いた皆様、一年間お付き合い頂き心より御礼申し上げます。

お店では、「ワインとお料理すごく合ってたよ」とか「美味しかったよ」という笑顔や
「こないだ、こんなワインとこんな料理を合わせたらすごく美味しくて〜」なんて
思いがけない相性を教わったり、人の温かさに育てて頂き、
元気を頂いているという幸せが身に染みるばかりでした。
これからも皆様の楽しい一時をお手伝いできますように前を向いていきたいと思います。

2019年もどうぞよろしくお願い致します。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

台風一過の心の晴天

秋晴れが気持ちの良い季節になりました。
「涼しくなったらやるわ。」と言ってた花壇の草むしりも、もう言い訳ができなくなりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?でも本当に外出しやすくなりましたね。
皆さんもあちこち出掛けられて、お忙しくされてるのではないでしょうか?
また、朝晩は寒いくらいなのでどうぞ体調の変化にもお気を付け下さいね。


さて、先月10月2日〜8日の一週間、ビストロ・ダ・アンジュでは、
毎年恒例のパトリック・テリアンシェフを招いてのスペシャルイベントを開催しておりました。

一年に一度のシェフとの交流とお料理をとたくさんのお客様にご来店いただき、
いつもとは一味違うビストロ・ダ・アンジュを、私も楽しく一週間過ごさせて頂きました。
ありがとうございます。

そしてこれもまた毎年恒例のように、この時期やっぱり台風が来るんです。
9月初旬は大阪直撃の大型台風に見舞われ、
シェフの到着予定日9月30日も台風予報が出ておりました。
空港や鉄道、百貨店も前回の事もあり早々に運休、休業を決めてましたから
「飛行機どこに到着するかな?」「新幹線止まってるで。」「イベント延期ってこともあるんじゃない?」

なんて心配はご無用でした。

「ボンジュール!皆さんお元気でしたか?さぁミザンプラス始めましょう!」と、
チェックインも済まさず大きな荷物を持ったまま元気な姿を見せてくれると身が引き締まる思いです。
すぐにコックコートに着替え仕込みが始まり
シェフのレシピが形となって現れると気持ちが高揚し
明日からのイベントが益々楽しみになっていきます。

そしてテリアンシェフの料理フェア、いよいよ開幕です。
ここからは、シェフのお料理とおすすめの組合せのワインで楽しんで下さい。


 「六種の貝のミュスカデワイン蒸し」にはこれしかないでしょ。
シェフの出身地、ロワールのミュスカデを。

貝の旨みだけでも十分な味わいを更に豚足とバターでコクを。
そこにミュスカデの爽やかな酸を。
澱と一緒にひと冬寝かせたミュスカデは爽やかさと旨味、コクを兼ね備えています。
一皿目からワクワクしますね。

  「イカとタコ、ミモレットチーズの彩り野菜 胡麻の風味」
ヨーロッパの食事には欠かせないチーズ。この世に三つの食べ物が残されるとしたら
パンとチーズとワインだ!なんて言葉があるくらい!
ブルゴーニュでも南の方で造られた、パインやマンゴーなどの
南国フルーツのニュアンスを持った シャルドネ、コトー・ブルギニヨン・ブランを。

 「グリンピースのクーリとソルベ ノワゼットの香り」 
クーリとはピューレのこと。このピューレとシャーベットの温度差が口の中で混ざり合って
ものすごくシンプルな料理なのにとても複雑で絶妙な味わいになります。
張り合っても仕方ありませんが、ここいらで日本のワインも。
樽の少し効いた酸味のきれいな「甲州」も絶妙。
最近はパリでもフレンチと日本ワインを合わせるお店が増えてきているようですよ。




 「オマール海老と平目 甲殻類のブイヨン ココナッツと生姜のアクセント」
そりゃ美味しいでしょ!またココナッツと生姜がオリエンタルで不思議な雰囲気を感じます。
樽の香りとしっかりとボリューム感のあるブルゴーニュのシャルドネが王道ではありますが
今回は南西地方の地葡萄を使った強烈な個性と可能性を持ったル・フェイトゥ サンモン・ブランを。
黄色い花の香りや蜂蜜の上品な甘さ、ハーブの爽やかさと最後は葡萄本来の瑞々しさ。
熟成期間がその複雑さを増して何とも言えない、シェフのお墨付きのマリアージュ!


 「フランス産仔牛のロースト ニンニクのフランと茄子のカネロニ」
85°の低温で3時間ゆっくりとローストするとこんなにもきれいなピンク色で柔らかくジューシーに
なるんです!後5分、いや後10分!なんて絶妙な火入れが腕の見せどころ。
この料理にはシェフが事前にフランスから送ってくれたAOCイランシー。
ブルゴーニュの赤ワインはピノ・ノワール単一で造られますが、
イランシーはセザールという品種を10%混ぜてもよく、タンニンを豊かにし色も濃くなります。
ワインラバーにとってはとっても興味深く
おもしろいワイン。

他にも数々のお料理とデザート。写真でのご紹介、楽しんでください。




いかがでしたか?食欲の秋、美味しいもん食べたく、飲みたくなってきますね。
今年もシェフと一週間お仕事をして、色んなお話をさせてもらいました。
その中で「普段の食事には、何も高級なワインを合わせる必要はない。。
日常ワインでも必ずその料理にピッタリのワインがあるんだよ。
それが料理もワインもそして心も豊かにしてくれるんだよ。」
というお話をしてくれました。ワイン文化のフランス人の心の声を聞いたような気がしました。

皆様の心と胃袋をつかめる嫁?になれますよう、これからも益々精進していきたいと
あらためて感じております。今後共宜しくお願い致します。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

シチリア島から、ドンナフガータのワイン会レポート

季節の移ろいを肌で感じ、そして自然災害の恐ろしさを体で感じた、そんな九月でした。
皆様はいかがお過ごしでしょうか?

スタッフや皆様との何気ない会話、ワインの多様性にときめき、
普通に仕事をし日常を送れている事が本当にありがたいと思える日々を過ごしております。


そんな中、先日イタリアのシチリアの生産者、ドンナフガータから
ファビオ・ジェノベーゼ氏が来日し、
アンジュの姉妹店、メルカート・アンジェロにてメーカーズディナーが開催されました。

数年前に私もこのワイナリーを訪問させて頂いた事もあり、他店のワイン会ににも興味津々で
参加させて頂く運びとなりました。

ところで皆さん、マルサラワインってご存知ですか?

ワインにリキュールを加え、アルコール度数を高め、
暑い土地や船の長期輸送にも耐えられるように造られた
シチリア島の西岸部「マルサラ」で造られる伝統のお酒で、
ドンナフガータも1983年の創業当初はこのマルサラワインを造る、
家族経営の小さな生産者でした。現在は東側のエトナ山の麓にも畑を持ち、
泡、白、赤、ロゼと22種類ものワインを造り、今や世界から注目される生産者となりました。

このシチリアマフィア並みの強面のおじ様、何か闇ルートでもあるんじゃなかろうか??
おっと失礼!!
家族思いで自社ワインを愛し、女性にはめっぽう優しいファビオ氏なのです。


ドンナフガータとは訳して「逃げる女」という意味で、
ルキーノ・ビスコンティ監督の映画「山猫」に出てくるナポリの王女が逃げて、
隠れ潜んだ場所「コンテッサ・エンテリーナ」に畑を持つのが
その名の由来。「セダーラ」や「タンクレディ」といったワイン名も「山猫」からくるように
全てのワインにストーリーがある名前をつけています。

そしてシチリアは9世紀〜11世紀にかけてアラブに統治されていた時代もあり、
その痕跡は今でも残っています。
モスク風の赤くて丸い屋根の教会や、食文化、アイスクリームの原型のシャーベットも
アラブ人がもたらしたと言われ、「アラブはシチリアの一部だ」とその文化を讃える人もいます。
ドンナフガータもアラビアとの歴史とリンクさせていて「ミッレ・エ・ウナ・ノッテ」=「千夜一夜」もそう。

   
 

1992年から当主とデザイナーが手掛けた斬新で可愛いラベルのワインは、
イタリアでは、美味しくないだろうと思われがちなんだそうですが、
ドンナフガータは外と中が伴っているんだと、その自信はイタリアワインの楽しさを感じます。

シチリアは土着品種の宝庫です。地中海からたくさんの民族がブドウの苗木を持って、
シチリアからヨーロッパ大陸に入植し何百、何千というブドウの品種が今でも残っていて、
その土着品種で造られたワインこそが イタリアワインの楽しさだと思います。

シチリア原産のネロ・タヴォラで造られた「ミッレ・エ・ウナ・ノッテ」は1995年が初ヴィンテージ。
その頃この品種は安くてまずいと言われ、ブレンド用として使われる事が多かった中、
単一でのワイン造りに挑み、初代当主の奥様ガブリエラがティスティングした際に
「スーパータスカンに並ぶワインだ!ドンナフガータここにあり!」と言ったとか言わなかったとか。
今回はお肉と合わせましたが、シチリアではネロ・タヴォラで造られるワインと
魚料理や野菜料理に合わせることも多いんですよ。

 初ヴィンテージ!スル・ヴルカーノ
 フレッシュでありながらミネラル豊富で
 濃厚な雲丹とも相性良いですよ。

 

 秋刀魚のブカティーニ
 穴あきの太麺パスタ。
 穴が空いているので
 吸ってもすすれない!
 ナイフで切って召し上がれ。

 

小さい粒状の
パスタ、「クスクス」          
これもアフリカから
入ってきたもの          
お肉のソースを
使うことが多いですが
シチリアでは
やっぱり魚介です。
 
A5ランクの
お肉とは
ミレ・エ・ウナ・ノッテ

 

「風の島」と呼ばれる
パンテレッリア島で
陰干しのブドウから
造られたデザートワイン
あんずの様な香りが
口いっぱいに広がり
最後はもうご満悦です。
 

 

やっぱりイタリアワインって楽しい!
国際品種のカベルネソーヴィニヨンやシャルドネで造られた
素晴らしい高級ワインも沢山あるけれど、
イタリアならではのワインは、飲む人を明るくさせてくれる。
それが最大の魅力。これ本当!聞いたことがない品種のワインを是非飲んでみてください。
きっとイタリアワインの虜になるはずです。

最後に、「今年のサッカーW杯は出れなかったけどイタリアでの盛り上がりはどうだった?」
と聞くと、「ホンマカッコ悪いわ!でもドイツが負けた時は一番盛り上がったわ!」と、
この日一番のテンションの高さでした。さすがサッカー大国!そしてワイン大国!

ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

JUGEMテーマ:ワイン

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