ソムリエール川西のワインにまつわるエトセトラ | Qualiter Letter

雨の日の楽しみ

6月に入り、毎朝の天気予報が気になる季節になりました。 皆様いかがお過ごしでしょうか?

雨の日も多くなり、外出も億劫になるそんな日々も
フランス人は楽しみを見つけるのがとっても上手です。

食事の前のおしゃべり「アペリティフ」もその一つ。
フランスには6月に「アペリティフの日」というのがありまして、
今やその活動は世界各国、日本でも様々な催しが行われています。

食前酒と軽いおつまみを片手に話に花を咲かせゆったりと楽しい時間を過ごします。
そう言えば、昨年フランスのワイナリーを訪問し生産者との食事の前に必ずと言っていい程、
まずティーラウンジでシャンパーニュとおつまみが出され、
色んなお話をしながら楽しい時間を過ごしました。

せっかちな私にとって、そういったゆっくりとした時間は、
日常を楽しむのが上手で食を大切にするフランスの文化なんだなぁと感じたものです。



アペリティフは会話が弾むだけでなく、食欲を増進させ健康のサポートもしてくれます。
「お酒は百薬の長」と言われるほど、適度の量はとっても身体に良いものなのです。

血流がよくなり一時的に血圧を下げたり、善玉コレステロールを増やしたりと。
とは言え、ついつい飲みすぎてしまうのがソムリエならぬノムリエの心情ではありますが・・・

でも食事の前は胃がからっぽ。
そんな時にアルコール度数が高いものを飲んでしまうと、かえって胃が荒れてしまいます。
度数が低くスッキリしたシャンパーニュやスパークリングワインが定番ですよね。




   ルネ・ジョリー ブラン・ド・ノワール エキストラ ブリュット

昨年ワイナリーを訪れ、古い伝統を守りながら新しい技術も取り入れ
丁寧にシャンパーニュ造りを行う家族経営の小さな生産者。

シャンパーニュは通常、糖分を添加して醸造をさせますが、それを一切入れず
ブドウ本来のピュアな味わい、ピノ・ノワールの個性を充分に発揮したシャンパーニュ。
特別な日のアペリティフに開けたいですよね。

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もっと気軽になんてときは、ブルゴーニュのクレマンも良いですよ。

クレマンとは、フランスでシャンパーニュ地方以外で
シャンパンと同じ製法で造られたスパークリング。

クリームに語源がありまろやかで優しい味わい。シャンパーニュよりガス圧もハーフ、
お値段もハーフでハーフスパークリングとも呼ばれています。

フレッシュでスッキリとしたなシャルドネの味わいはアペリティフに最適。
食欲が増してその後の食事が楽しみになります。

    
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   イタリアのシチリアからドンナフガータ・ブリュット

シャンパーニュに負けないボリュームと地中海のミネラルを感じるスパークリング。
5年程前にドンナフガータを訪問したときに
いつもスパークリングは大きなチューリップ型のグラスで提供されました。

たしかに!華やかさや地中海のミネラルを香りで充分に感じられ、
味わいへのワクワク感が止まらず会話も止まりませんでした。

イタリアでは大きいグラスで飲むのが定番らしく、
私もそれ以来大きいグラスでスパークリングを飲むのにはまっています。


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パチンコ好きの知り合いのシェフが、フランスに修行に行った時、
「フランスにはパチンコ屋がなくてやることがなかった」なんて話をしておりました。

きっとフランス人はそんなのがなくても楽しい時間の使い方、
人とのコミュニケーションや食文化の大切さを知っているんだろなと思います。

今やモノや情報に溢れる世界。スマホを触れば一時間二時間はあっという間。
ブルーライトのせいなのか、ベットに入って目を閉じても何だか目の奥でチカチカして
なかなか眠りにつけないってことが多々あります。

人と人の距離を縮めゆっくりとリラックスする事は現代人にとって必要な時間ですよね。
雨が多くなるこの季節、鬱陶しいなと感じたらアペロして楽しい時間に変えましょ〜♪

ただ、美味しくて楽しいので要注意。それだけでお腹いっぱいになっちゃいますから。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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メイデーは愛の日でした

休みというのは始まる前はワクワクしますが、終わってしまえばあっという間ですね。
皆様ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか?

さて、フランスにはスズランの日というのがあり5月1日に愛する人やお世話になっている人に
スズランの花を贈る習慣があり、もらった人には幸運が訪れると言われています。
鈴の形をしたこの花は春のシンボルで幸せを呼ぶ花、又聖母マリアの涙と喩えられることもあり
花嫁に贈る花としても良く使われます。

5月1日は愛の日とされており、この日が近づくと街の至る所でスズランの花束が売られます。
花言葉は「幸福が訪れる」、「純粋」、「繊細」、「意識しない美しさ」などなど。
あぁ、少しはあやかりたい。。。とは言え、この日本でスズラン・・・あまり見ないですよね。
どこかでひっそり咲いているのを見つけたら、何だかいい事ありそうですね。



スズランはユリ科のスズラン属の多年草。このスズラン属=Convallariaはラテン語が語源で
「谷間のユリ」という意味。17世紀の小説家バルザックが書いた「谷間の百合」を思い出しました。

数年前に一度読んだのですが、うーん、確か青年の煩悩と死を前にした人の欲望や感情が
描かれていたような・・・。スズランと何か関係あったかなぁと思い返しています。
それとバルザックはロワール地方出身だったなぁと考えているとロワールのワイン、
飲みたくなってきました。

ロワール地方は古くから王侯貴族が暮らした土地として有名で、今でも700近い古城が残っており
その美しい古城と豊かな自然の調和した素晴らしい景観と、穏やかな気候から、
「フランスの庭園」と呼ばれています。
そして、多彩な土壌からは甘口から辛口、スパークリングまで
バラエティー豊かなワインが産み出されています。





西側、大西洋に注ぐ河口付近、品種名がワイン名と産地名(AOC)とフランスでも珍しい
ミュスカデは‟シュール・リー"という、澱とともに一定期間熟成させ、ワインに厚みを持たせる
この地方伝統の醸造法で、単なる並酒から個性あるものに変えていきました。
地元では魚介と合わせるのが定番!


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ロワール川中流域、アンジュ地区(ビストロ・ダ・アンジュのアンジュはここからきています)は
海側の海洋性、東側の大陸性の2つの気候、土壌も海側の砂利や泥からじょじょに石灰質に
変わっていく土地で、ワインも多種多様。もともとロゼで有名でしたが貴腐や遅摘みの甘口ワインや
スパークリングも造られています。霧が発生するレイヨン川流域の貴腐ワインの、色、香り、味わいは
まさに官能的で、蜜のような甘味とロワールが持つ酸のバランスが絶妙で、感動を与えてくれます。

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中流域東側のトゥレーヌ地区は赤ワインも多く造られていますが、
ソーヴィニヨンブラン主体の軽快な辛口白ワインが主流ですよ。

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パリの南、中央フランスにあたるこの地域は、ボルドーでは
補助品種に過ぎなかったソーヴィニヨンブランを
シャルドネに次ぐ世界的人気品種にさせるきっかけとなったサントル地区。
かつてカエサルが「ガリアで最も美しい街」と呼んだ
古都ブールジェを囲むように丘陵地帯が広がる土地。
爽やかさだけでなく、ミネラルとボリューム感もある厚みのあるワインを産み出します。

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ロワールのワインが注目され始めたのはごく最近、10年とか20年だと思います。
特にこの冷涼な土地で造られる白ワインの魅力は、その酸にあります。
シュナンブランやソーヴィニヨンブランという品種は、今や世界各国で栽培されていて、
良質で美味しいワインも沢山ありますが、やっぱりどうしても真似できない、
美しいと言える酸味を持っているのは、ここロワールだけだと感じています。

決してブルゴーニュのような偉大さや優雅さを持っているわけではありませんが、
秀逸さや風格、個性をそなえた、まさに「綺麗」と言えるワインだと思います。

風光明媚なロワールの情景を思い浮かべながら、綺麗で美しいワインを飲みたくなってきました。
そして昔読んだ本を読み返したらまた違う感情が生まれるかもしれませんね。


ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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バイプレイヤー

お花見をする間もなく桜の花も散ってしまい、あっという間に春が通り過ぎてしまいました。
春の名残を感じるのは鼻のむず痒さだけです。   皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、ここ数年パリで話題なのが「ネオ・ビストロ」と呼ばれているお店。
元々「ビストロ」というのは地方の出身者がパリに出稼ぎに来て食堂を開き、
奥さんが料理を作って、ご主人がサービスをするというような家庭的で素朴なものでした。

定食屋とか食堂、居酒屋など正確な定義付けは難しいですが、
シンプルで安くて旨い料理とワインを出し、アットファームな雰囲気のお店なのです。
「日常使いの定食屋」とは少し違う「高品質で手頃な価格のレストラン」というのが
「ネオ・ビストロ」と言いましょうか。
星付きの高級レストランやホテルで修行を積んだシェフたちが今独立して
このようなスタイルのレストランを出すのが主流なんです。

フランスにおいて料理は国の芸術なんだと思います。
一流の料理人としてガストロノミー(美食学)を目指す人たちは高級ホテル、
レストランで修行をし独立したならば最初に目指すのは星の獲得といっても過言ではないと思います。そういった目指す道を自ら降りて、その道以外にもガストロノミーがあるのを
証明してくれているんだとも思います。


数年前に最新の技術やテクノロジーを駆使した料理が話題になった時代がありました。
料理の世界もまた新たな革新が起きたとも思いましたが、価格も高沸し予約も取れないとなると
どうも現実離れしすぎて、私達一般庶民には手が届かないものになりましたよね。

そんな中で彼らは"競争するための料理"ではなく
"食べる人のための料理"を目指したんだと思います。

そしてそんな料理を引き立てるのがワインだと思っています。
あくまでも料理の脇役として料理に寄り添い料理を引き立たせ、
その場を盛り上げてくれるもの。まさにバイプレイヤーなんだと。
また、ワインにはボルドーやブルゴーニュといった主役級が君臨していますがマイナーな地方、
マイナー品種もいい味を出してくれます。


フランスはアルザス地方のピノ・ブランは豊かな果実味と爽やかな酸味が口いっぱいに広がり
一本飲み干した後はしみじみと今日飲んだワイン美味しかったなぁと思わせてくれます。
パテやハム、ソーセージ、チーズなどビストロ料理にしっかりと寄り添ってくれます。
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ロワール地方はサンセール。グレープフルーツのような酸味や苦味を思わせるジューシーな味わい。
スモークサーモンや鰆、貝類、アスパラガスのような春の食材を一層引き立たせてくれます。

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250年前まではイタリア領にありフランス領に返還された後数ヵ月後にナポレオンが生まれたという
地中海に浮かぶコルシカ島。南国らしい豊富な果実味を持ちながら穏やかな渋味とまろやかな酸味が
料理を食べ終わった後もずっと飲んでいたいワイン。クロ・ヴェンチュリ・ルージュ。
  
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私が勤めるビストロ・ダ・アンジュは今春46周年を迎えました。
自分が勤めるお店のことながらこの時代に、
同じ場所で同じ業態でずっとお店を続けているという事はほんとにすごい事なんだと
あらためて感じています。これも一重に、アンジュに来てくださり

暖かく見守ってくださった皆様、時には本音で厳しいことを言ってくださる皆様に
ここまで育てていただいたと思っております。
本当にありがとうございます。

ビストロ・ダ・アンジュが繋いでくれる良縁を大切にし、味わいや料理との相性もそうですが
生産者の想いや情熱、美味しいワイン、おもしろいワインを伝え、紹介し、
皆様のワインライフがより美味しく、楽しい時間を過ごして頂けるようお手伝いするべく、
ソムリエとしての名バイプレイヤーに、
そして厳しい時代ではありますが、変化するビストロ・ダ・アンジュではなく
進化するビストロ・ダ・アンジュでありたいと思っております。


どうぞ47年目のビストロ・ダ・アンジュをよろしくお願いいたします。



ビストロ・ダ・アンジュ ソムリエール  川西幸代

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